2009年6月28日日曜日

チョコレートのお話

頂き物のパリ土産のJ.P.Eのショコラが減ってきた。そりゃ食べれば減るのが当然なのだけれど寂しい。宝石箱のようだったケースが冴えない落ちこぼれ達のたまり場に見えてくる。ぼんやり箱を見ながら、そう言えば、、、よくあるショコラの外観とフレーバーを説明したリーフレットが無いことに気づいた。もしかしたら、パリの人々はどんな味かを楽しみに思いながらショコラを口に運ぶのかもしれないなあ。それって余裕があって素敵だなあ。だっていつだって次があるっていうことでしょう?「あ、この味は驚きがあるけれど私の好みじゃないなあ。こんなのもありね。でも、いくつでも食べれるわけだし、まあいいじゃない?次が楽しみ。」ということでしょう?私などは新宿のJ.P.Eのショップで家族にたった一つずつだけ買い求めたことすらある。一人一つしか買えないのだから選ぶ方もそれは必死だ。それで説明書を端から端までひとつひとつ読んでいくことになる。あのよくある写真入りのリーフレットは日本だけのものなのかも知れない。だとすると日本人って余裕がないよなあ。でもパリの貴婦人の余裕と大らかさがない代わりに、繊細さと必死さとどんなに小さな失敗をも成功に導くものとする勤勉さがあるのかもしれない。パリでソニーは生まれなかったのである。

私はチョコレートに嵌まったことがある。チョコレートにはチョコレート会社があり、ショコラティエがあり、クーベルチュールメーカーがあり、カカオの産地があり、カカオの木の品種がある。こだわり方の純度と順序のはなしだ。つまり、こういうことだ。チョコレートにはまるとまずは、ハーシーだ、リンツだ、ゴディバだ等々というところから始まる。次にテオブロマだ、ピエールマルコリーニだ、ジャンポールエヴァンだ、等々ということになる。次はヴァローナだ、カカオバリーだ、オペラだ、等々ということになる。その次はエクアドルだ、マダガスカルだ、ヴェネズエラだ、ということになり、最後は、フォラステロ種だ、トリニタリオ種だ、クリオロ種だという話になる。ここまでチョコレートにどっぷりはまった私は、繰り返す嘔吐と頭痛で医者にかかり、チョコレートの食べ比べやお菓子作りは今のあなたにとって最悪の趣味ですからすぐにやめなさいと言われるまでになった。ドクターストップである。我ながらよく食べた。そして、暫くは体が受け付けなかった。

ここまでいろいろ食べ比べた私が現在一番おすすめするチョコレートを発表しようと思う。そのチョコレートの食感の軽やかさと楽しさ、まろやかな口どけ、なめらかさを私は大変評価し気に入っている。大変良く出来たそのチョコレートとは、ロッテの一粒まるごとマカダミアチョコレート12粒入りだ。コンビニで買えるこんなチョコレートを馬鹿にしている人もいらっしゃることであろう。たしかに高価なショコラ特有のクリオロ種カカオ由来の酸味は全くないし、マカデミアナッツはショコラティエが積極的に取り上げる素材ではない。しかし、ジャン・ポール・エヴァンのショコラをたった今食べた私が何の疑いもなくこう書いているのである。


白馬の王子様は息子のために作ったレゴ。
本日の体重59.0キロ。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光