2017年12月8日金曜日

はいチーズ!





昔から写真を撮る時に「はい、チーズ!」と言うじゃないですか?
あれって子供の頃からどうもしっくりこないんですよね。
何でチーズ?日本人ってそんなにチーズって食べるのかな?って。
みんなが思い浮かべるのはどのチーズ?とも気になります。給食で出た四角い銀紙のプロセスチーズ?三角の6Pチーズ?外国の本格的なやつ?まあ、そこにいる全員が同じ種類のチーズを思い浮かべる必要もないんだけどね。
それに、「チー」の時はいい顔だけど「ズ 」の時の顔は写真には不向きでしょ。
もっとも、シャッター切られるまで「ズぅ〜」って渋い顔で待ってる人も居ないかもしれませんね、はい。



『クールドリヨン・カマンベール』(熟成し過ぎでオレンジ色になると別物に変身)、ウォッシュの『ピエダングロア』(うちの定番)、『ブルー・ド・ブルビ・レガリス』(ブルビ=羊乳ね)、ロスチャイルド家の『モー・トリュフ』(黒い層がトリュフ)







ウォッシュの『ポンレヴェック』、頂き物の『ダフィノア・トリュフ』(黒い粒つぶがトリュフ)何て幸せ。ごちそうさまでした!




写真の掛け声のお話でしたね。
私が好きなのは「1+1は?」って、あれね。
あれって何度聞いても慣れずに面白くないですか?
思い出しただけで力が抜けてニヤケてしまいます。




オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光


(ちょっと調べてみたら写真を撮る時の「チーズ!」は元々フランスに存在していたみたいですね。それを日本のチーズ会社がテレビCMに使って広まったとのことです。へぇ〜。)




 
『シロネ』はアミノ酸のシャリシャリ。ピノ・ノワールの絞りかすで磨いた『ヴェリーノワール』は干し海老の香りも。


2017年11月26日日曜日

「黄金の山」という名のチーズ

最近、夕食後にチーズをいただくのが楽しみです。早くチーズが食べたくてつい夕飯をさっさと片付けたい気分になることもあるくらいですが、その原因がこの季節にしか食べられない種類のチーズだったりもします。



 この季節、そう、チーズのモンドール(Mont d'orフランス語で「黄金の山」のこと)が出回る季節なのですよ。



モンドールは9月ごろから出回りますがいよいよ熟成も進みシーズンも本番。


うちではモンドールこそチーズの至高としていて、それこそ「モンドール様」と崇めており、他のチーズとは別格の歓迎ぶり。モンドール様を中心にして、周りで手を繋ぎ輪になって踊れそうです。いつもより大きなグラスでワインを用意。ワインもor(金賞)で。



カットのものを購入したりもしますが、気分が上がるのは木の皮がついた奴ですね。今晩のも木箱入りですが、その中に木の皮で包まれたチーズが収まっているのです。香りが良いですね。




これをメインディッシュの後にレストランで提供するとき、それを横目で見ながらシェフはどんな気持ちなんだろうといつも考えてしまいます。こんな濃密な味を、こんな滑らかな舌触りを、こんなに快感を得られる香りを、メーターを振り切るほどの旨味を、人間がどうやって小細工したって作れないじゃないですか。私だったら嫌だな、つい今しがた自分の提供したクリーム系のソースと比べられそうで。


モンドール様にはフランス産とスイス産があったような気がしますが、それが正しいのか、今晩のはどっちだったのか、今となってはボルドーのせいで良い気持ちになってしまいまして、まあ、美味しければ良いのですよね。





いやあ、美味しかった。
モンドール様の木箱の蓋をそっと閉じて、
残りは、また、次回のお楽しみ。

オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光






後日、今度は箱ごと焼きました。

熱でとろけたモンドールのフォンデュ。








2017年10月14日土曜日

手作りマロングラッセ



マロングラッセを手作りしてみました。
九州の大粒の栗で作ったらどうなるのかなと思いまして。

加糖し煮詰めて4日後、糖分が表面に結晶しました。

一粒ずつタコ糸で縛って、グラッセになるまで4日要しましたが、なかなかの色艶、香り、味。「本当に出来ちゃうんだなあ。」というのが作った本人の感想。


手作りのマロングラッセ一粒で41グラムあります。

大粒の手作りマロングラッセが16粒出来ました。

栗蜜もたっぷり出来ました。クリームチーズにかけたり、コーヒーに入れたり。小布施で瓶入りの栗蜜ばかりずいぶん買ったのを思い出します。自家製の方がずっと香りが濃いですね。
大粒のマロングラッセが16粒と栗蜜が1キロちょい。
かかった費用は全部で1000円程。
(因みにフランス製MdCのあの小さなマロングラッセだったら1000円じゃ1粒半しか買えませんからね。)

安いけど、作るのは大変でした。まず、栗の果肉を傷つけずに渋皮を美しく完全に剥くのは至難の技であること。完全に剥いたつもりが、実はまだ全部渋皮だったとかあるんですよ。
そして、仕上がるまでに半分以上の粒が割れること。割れてもタコ糸で縛ってあるのでバラバラになりません。もちろん売り物にはなりませんし、そんなつもりもありませんので、まあ良いのですが。

大変ですが、煮詰めていきグラッセになるその成長過程が楽しかったです!朝顔を種から育てて観察日記を書いて花が咲いた時の喜びを覚えていますよね?あれのミニサイズ版とでも言いましょうか?日に日に成長していくのが実感できるんですよね。


マロングラッセ作り、2回目の挑戦です。

水とグラニュー糖、バニラビーンズ、ほんの少しのバーボン。それだけ。

今回は長野産の栗。ひと際、大粒。

グラッセとはガラスのこと。ガラス細工のような透明感あり。満足。



成長を確認したその瞬間に立ち会えることは嬉しいことです。
おこがましいですが、成長を手助けしていることにやりがいを感じます。
結果として自分も少しずつでも成長しているとしたら良いのですが。
成長そのもの。それこそが素晴らしい。
いえ、マロングラッセのお話ではないのですが。


 オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光






2017年7月9日日曜日

牡蠣の塩辛と曜変天目



暑い暑いこんな日は、さっぱりと参りたいですよね。



仙台。『十字屋』牡蠣の塩辛。

和歌山。純米吟醸『夏の疾風』。





京都。『京つけもの きたの』加賀太きゅうり 水茄子。



今日の盃は曜変天目。


曜変天目といえば、
最近『なんでも鑑定団』で話題になりましたね。
放送前に大発見とのニュースになっていたので私も録画して見ましたよ。
番組では本物と鑑定されましたが、あれは、出来の悪い偽物ですね。
骨董屋とか評論家は自分で作ったのでもないのに能書きを垂れる。
作らなければ分からない。
作ると見えてくるものがある。
何れにしても知ったかぶりは良くないですなあ。

じゃあ写真の曜変天目は本物かって?
そりゃあ、正真正銘の偽物ですよ。
何しろ作った私が言うのですから間違いございません。



オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光








2017年6月18日日曜日

ソフトボイルド。ハードボイルド。




ゆで卵って美味しいですよね。
生卵を3分30秒茹でるだけ。
水にとってはダメ。
熱々のソフトボイルド、ね。
私は塩も振りません。






"狼は生きろ、ブタは死ね。"
これは、ハードボイルド、ね。


オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光


 




2017年5月21日日曜日

クロワッサン






 ここのところ、クロワッサンに、はまっています。


FMラジオの朝の番組の収録スタジオにクロワッサンをお届けして美味しさを紹介するという企画がありまして、


というよりも、私が企画提案いたしまして、


それもきっかけなのですが。


 クロワッサンを見つけると番組のために試食せずにいられないのです。



『で、どれが一番美味しいの?』というご質問にはお答えできないことをご了承ください。


そう・・・ローマの休日のアン王女のように、どれもそれぞれに忘れがたく素晴らしいとい答えさせていただきます。(実はヘップバーンの台詞はこの後『ローマ!何と言ってもローマです。』と続くのですが。私はローマンチストなだけではございませんので。)


番組にご協力いただきましたブランド様も複数ございます。

 
皆様、本当にありがとうございました。


オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光


クロワッサンが美味しいのはバターのおかげで層ができてサクサクとなり、甘い香りが豊かだからです。結局、バターって美味しいんですよね。写真のドーム型の回転蓋がついたバターディッシュは最近手に入れたアンティーク。ガラスの下に氷が入っているんです。骨董市場に割と数があるものなのですが、現在無傷のガラスがきちんと残っているものを探し出すのは簡単ではないんですよ。


























2017年2月26日日曜日

超絶美味い「さかたのおやき」さかた菓子舗




2014年の夏休みのこと。
家族旅行で白川郷を目指す車中、松本インターからの道すがらハンドルを握る僕は一瞬、道の左奥に何か素敵な民家を見たのです。
(おやきの看板があったかも?でも、民芸品のお土産屋さんかもしれないなあ。)
その程度だったのですが、どうしてもその佇まいが気になりしばらく走ってから狭い道をUターンして戻ったのです。

松本にあった頃の「さかた菓子舗」

そこは民芸品のお店ではなく、おやきの専門店、移転前の「さかた菓子舗」だったのです。その時は僕たちにとって「ただの通りすがりの店」でしたから、おやきを一人ひとつずつだけ買って車に戻りました。走り始めるとすぐに僕はまだ温かい「ひじき胡桃和え」のおやきを運転しながら頬張ったのです。
「うんま〜!何これ!すげ〜な〜、これ!」
あまりのうまさに二度見。本当に驚きました。皮も中身も今まで食べたおやきとは全くの別物だったのです。皮は長期熟成のバゲットのようなグルテンの弾力があり、具は皮を割れば弾けて飛び出すかのようにぎっしりと詰められていただけでなく、味付けも完成された料理の様です。そして、何故か温かなもてなしの心を感じてしまうんですよ。
「こんなに美味しいならもっと買えば良かった!」
妻もその味を絶賛しました。
その後、この旅行中、他の作り手のおやきを見つける度に食べましたが「さかたのおやき」は 別格でした。

旅行から戻り調べたところ、「さかた菓子舗」には支店もなく、お取り寄せも出来ないお店。つまり、松本まで行き現地で買うしかないのです。それで、僕たちは、旅行中に立ち寄るのではなく、「さかたのおやき」を買うことを目的として2度、東京から車で出かけました。ミシュランガイドの三つ星の条件は『そのために旅行する価値がある卓越した料理』とされますが、僕たちにとっての「さかたのおやき」は正にこれだったのです。

そんな話を大学時代の親友に話したことがあるのですが、つい先日、そのU君から携帯に連絡が入りました。
「おっ、U!どうしたの?今どこ?」と僕。
「どこだと思う?へへへ、さかたのおやき。」
彼は「さかた菓子舗」が松本から安曇野に移転したことも教えてくれました。
「おやき、送ってやるよ。お金なんかいいよ。」とU。
「え〜っ?まじか〜!ありがと〜、U!今度から会う度、毎回ご馳走するね!」
嬉しさのあまり、僕はこう電話口で大声を出していたのです。
電話を切ってからも興奮は収まらず、いや〜、何て素晴らしい人物なんだ。やはり、金融機関の支店長を任されるまでにスルスルと出世してしまう人物は違うなあ・・・などと感心してしまいました。
でも、しばらく経ってからから気付いたのです。


もしかして、さっき、俺、「今後の飲み代は毎回持つ」って言っちゃわなかったっけ?
ははは・・・(冷や汗)
いや、冗談だってば、って、もう遅い?

オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光




U君ありがとう。
扁平じゃなくてコロンとしています。
電子レンジで温めてからオーブントースターで熱々に!
「切り干し大根」と「小倉あん」
「野沢菜」と「ひじき胡桃和え」





2017年2月1日水曜日

ワインバーO’hyoi’s(オヒョイズ)






本日、おヒョイさん(藤村俊二さん)が1月25日に亡くなったというニュースが流れた。・・・寂しい。

ニュースでは「西遊記」や「ぴったしカン・カン」、「ぶらり途中下車の旅」のナレーションなどが紹介されていたが、僕の印象は全く別のものだ。
僕にとってのそれは、ワインバーO’hyoi’s(オヒョイズ)のオーナーとしての藤村俊二さんだ。そこへ行ったことのある人ならぴんと来ると思うが、ニュースで使われた肖像写真の多くは藤村俊二さんが経営していらしたO’hyoi’sで撮られたものだ。この店、藤村俊二さんがイギリスにいらしたときに惚れこんだ大工に一度現地で家を建ててもらい、それをわざわざバラして船で運んだという。そして、再びイギリスの大工を日本に呼び、南青山のビルの中の空間に組み立ててもらったのだ。家具調度品、照明、ドアノブもすべてイギリスから運んだもの。そして、藤村俊二さんと交友の深い俳優、著名人などが数多く来店した。店の奥に向かうと左側にソファーの置かれた個室があり、そこにはそれこそ往年の銀幕のスターが揃って談笑していたものだ。幸運なことに僕が伺う夜には藤村さん自ら我々のテーブルまで毎回ご挨拶にいらっしゃり、帰り際にはお見送りまでしていただいた。ほんの一言。それに誰もがそれだけでファンになってしまうであろう微笑。フランスでパントマイムを学んだと伺ってはいたが、実父が有楽町の映画館スバル座やオリオン座などを持っていたスバル興業の社長だったというのは今日まで知らなかった。なるほど、そうだろうなと思う。店の趣味も微笑も。

僕が通っていた時代、あの時代、僕はこれはと思うひとをO’hyoi’sへ案内した。価値のわかる人もいればわからない人もいた。それでも良かった。僕は店を出るとお相手を助手席に座らせ、ほろ酔いでハンドルを握った。外苑西通りの緩やかなカーブに沿って車のライトが滲みながら流れてゆく。風が頭を撫で、都会なのにあの一角ならではの広く高くなった空をエキゾーストノートが渡っていく。あの店の床は木材が良かったから革底で歩くと心地よく響いた。あの靴音、良かったなあ。僕はせわしなく運転をしながらも、しばらくは静かな店の余韻を楽しんでいた。

8ミリ映画のスローモーションでも見ているような気分で、あの頃を、今夜は想い出してしまった。

おヒョイさん、ごちそうさまでした。ご冥福をお祈りいたします。


オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光




2017年1月8日日曜日

真珠を食べちゃいました。



東京国立博物館 表慶館

僕が本屋で手に取る雑誌は男性誌『LEON』以外に、『婦人画報』やら『家庭画報』、『Richesse』といった女性誌だったりする。そこに出ている宝石の写真を眺めるのが好きなのだ。ちょっと前に東京国立博物館表慶館でC社の新作ハイジュエリー受注会にも顔を出してみた。初めから購入の可能性などないのだから開催者にすれば迷惑な話ではある。どうかお許しを。

DATURA Necklace。センターの美味しそうな「イチゴ味の飴玉」みたいなのは、
62.15ctのオーバル・カボションカットのルビー。


そんな僕は真珠にも詳しい(きっぱり)。タヒチでは終日「黒真珠」を物色。通販では「あこや」も「白蝶」も偽物を摑まされて勉強。銀座や御徒町ではM社やT社のネックレスはもちろんのこと、製品になる前のクラスプの無い状態のネックレス素材も含め何百連と妻のために品定めし尽くした。
そんな僕が一番気に入っている自分用のパールは、如何にもいびつなブルーグレーの真珠一粒のタイピンだ。母方の祖母から譲り受けたこの真珠は、祖父母がまだ海外旅行が自由化されていない時代に日本から何度も給油を繰り返しプロペラ機で辿り着いたマイアミのお土産屋さんで買った「生きた真珠貝」をその場で開けてたまたま入っていたものと聞いている。10ドルかそこらの真珠貝から出てきたその一粒を後に18kのピンに仕立てたのだ。





タイピンのパールを覗きこんでみる。
いびつだからこその真珠層の巻きの厚さは緑や赤紫の強く複雑な干渉色を見せてくれる。
祖母がオーシャンフロントのホテルで高層階のバルコニーから見下ろした海の色がいかに美しかったかよく僕に話していたのを思い出す。話を聞くたび、苦労を乗り越え横浜での貿易業が軌道に乗り貧しくちっぽけな日本から大国のリゾート・マイアミビーチへ到達したことを実感した瞬間の「自分たちはついにここまで来たのだ。」そんな誇らしい祖母の気持ちが伝わってきた。このパールの虹色の光のはざまにそんな祖父母の輝かしい思い出と喜びが時を超えて今尚きらめいているように感じる。

たとえどんなに粗末であっても誰かが所有しているジュエリーには「想い」が詰まっている。だから、どんなに大粒で最高品質の宝石よりもその人にはかけがえのないものなのだ。DATURA(写真のルビーのネックレス)のストーリーは真っさらな頁へこれから初めて書かれていくのだ。その意味で我々のような傍観者の目にはまだ本当の輝きは映ってはいない。

さて、真珠を育む「あこや貝」。見た目は牡蠣にも似ているわけで、以前から僕は「真珠を採った後、身の部分はどうしているのかなあ?生牡蠣のように食べられないのかなあ?フライもイケるんじゃ無いだろうか?」と思っていた。
で、先日、伊勢志摩の『真珠漬け』というのを見つけたのだ。「あこや貝」の貝柱だけを酒粕に漬けた逸品で意外にも繊維が緻密でしっかりした歯ごたえのこれ、中々に旨い。  ただ、美味しい味噌ダレの味がしっかり染み込んでいるので、真珠貝そのものの味がどうなのかは自分の中で結局のところ謎のままなのだが。

真珠漬け

オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光

2017年1月2日月曜日

「霜降りの黒毛和牛」と「ターコイズ鉱山」のお話

僕はダイエット中に美味しそうなものを目の前にした時、「これ食べたら間違いなく太るよ?身体にすご〜く悪いよ?寿命だって縮まるよ?これを食べることにそれだけの価値があるの?」と自問自答し「YES」の場合だけ口にすることにしている。従って、脂の多い牛肉やラム、豚バラなどは滅多に食べないのだ。

だが、イベント時は別。クリスマスからお正月のこの時期は普段あまり近寄らない牛肉屋さんへ脚が向く。

そして、命を削る価値があるほどに旨い牛肉にだけかぶりつくのだ。

実は、僕は調理前の美しい霜降りの肉の断面を見るのが好きだ。
怖いもの見たさに熟成牛肉の塊の周囲の色が悪くなっているところを見るのも乙なものだ。お店の方と産地や肉質のお話しをするのも実に楽しい。

このシーズン、どれだけの牛肉の断面を吟味しただろうか。角度や緻密さといったサシの入り具合、赤と白のコントラスト、断面の艶。う〜ん、それぞれに美しい。そして、同じものは一つとしてないのだ。
僕は何度見ても飽きない。

牛肉の断面の鑑賞は、ランダーブルーやらダメイル、ナンバーエイトなんかのクラシックなターコイズを眺める時の楽しさと似ている。それも細かいスパイダーウェブのルースを手に取りルーペを覗いている時のあの高揚。

交詢ビルの中の鉄板焼き屋さんのこれは差し詰め『キングマン』。見事な手さばきは眼にもご馳走。肉汁と赤ワインが口中で渾然一体のジュースとなり悶絶。間違いなく寿命を縮めたが、我が人生に悔い無し。
新宿の某百貨店でカットしてもらい自宅のグリル・ロンドで網目模様の焼き目をつけたステーキに。エイジング・ビーフは『ペルシャン』。
家で肉を焼くのは僕の役目。カルビの塊で作ったローストビーフを薄く切ったら3〜4枚重ねてクレソンを添えてバゲットに挟む。このマトリクスは当に『ダメイル』。
このロースは『インディアンマウンテン』でしょうか。しかし、この肉、しゃぶしゃぶで本来の見所が洗い流されたと判断。改めて山葵醬油で生食したら美味かった。ただし何があっても自己責任で。

 
多くの賛同は得られそうにありませんが・・・。
以上、僕なりに「黒毛和牛」のサシを「ターコイズ鉱山名」で表してみました。

オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光