2015年12月26日土曜日

ラテアート(デロンギ マグニフィカSで遊んでます)




毎朝、僕はカフェラテを自分で淹れる。
エスプレッソに注ぐその時の「蒸気で暖めたミルクの対流」で模様を描き出す。
これが飽きない。
エスプレッソの下にフォームドミルクを潜らせる、混ぜる、浮かせる、流す、溜める、切る。
ゆっくりと、慎重に、すばやく、一息に。
同じ模様は二度と出来ない。
だから楽しい。






僕はカフェインに弱いせいなのかコーヒーを沢山飲むと頭がぼーっとしてしまうから一度に二杯は飲めない。
もう一杯、もう一回と描き直すことが出来ないのだ。
だから、朝の一杯は自分なりに真剣に淹れる。
うまく描ければその日何か良い事がありそうな気持ちになれるのだ。
マシンはデロンギ マグニフィカS、使用歴は10か月。イタリア製なのに今のところ壊れそうにない。

デュッセルドルフのMr. Dritan Alselaの動画、これを見てラテアートにのめり込んだ。お洒落な映像はおすすめですぞ。
http://dritan-alsela.de/

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光



2015年12月25日金曜日

あの頃。彼女。弁当の味。


昔話をしようとする俺の言葉を遮るように
「今はお互い幸せなんだから、それでいいじゃない。」
と貴女は呟いた。
俺は黙って目を閉じるしかなかった。
(違う。貴方は幸せなんかじゃない。旦那からの束縛も。不自由さも。身なりも。俺なら貴女をこんな風にはしなかった。俺なら。)

いや、分かっているさ、今更どうこう出来る訳ではないってことは。
もうずっと昔に終わったことだ。
つまり、あの時、俺は大切なものを永遠に失ったのだ。

あの頃。
毎日のように貴女が作ってくれた弁当は
いつも卵焼き、細切りにした鶏の皮だけの照り焼き、それにきっと出汁をとった後の昆布の佃煮、そんな質素なおかずだった。
けれど、現在どんなに贅の限りを尽くしたとしても手に入れる事の出来ない幸せの味が弁当箱からは溢れるようだった。
そして、貴女は、ゴトウ花店の薔薇でもティファニーでもなく・・・
野に咲く花に、或は何でもない日常の夕日に感激して、「綺麗!」と輝く笑顔を俺に見せてくれた。
そんな貴方が俺には、ただ眩しかった。
貴女は確かに飾り気もなく質朴だったけれど、だからこそ特別な存在だったんだ。

さようなら。

あの頃の貴女は、あの頃のふたりは、もう何処にもいない。
何を手にしても長くは喜びの続かないこの世界を、俺はこれからも歩いて行く。
貴女との宝石の様に輝く瞬間瞬間の記憶を時々想い出しながら。

今になって、俺は永遠の宝ものを手にしていることに気付くのだ。
それは目には見えないけれど、本当に大切なものっていうのは大抵そんなものだろう。

 


 







2012年6月13日水曜日

『社長』。お清めの塩の味。

『社長』が死んじゃった。『社長』が渾名だったあのW先生だよ。成蹊のラグビー部の顧問、俺たち高校3年D組の担任だよ。俺が級長やらされた時の。それにしても、俺は落ちこぼれだったなあ。中1からルールもろくに分からずにラグビーやって、中学に入ってからは勉強もしなくなったし。

今日はお通夜だったけど、俺、その後にレコーディングの立ち会いの仕事が入ってたから無理言って、通夜が始まる前に焼香だけやらせてもらったんだよ。いや、本当はあそこに居たくなかったから早く逃げ出したかったのさ。だって、あんなに堂々としていつも仁王立ちして腕組みしてたあの『社長』がさ、あんな狭い箱に入っちゃって、顔だっておじいちゃんみたいになっちゃってさ、小さく見えたんだ。その顔見ながら手を合わせて辛くなったんだよ。

何年か前にさ、俺が成蹊の近所を車運転してたら道の反対側に『社長』を見つけてさ、「社長!」って窓あけて声かけたらさ、危ないのに車道を渡ってきて、「お前、仕事はどうしたんだ?」ってさ、平日の昼間だったからなあ、普通社会人はビジネス街でスーツ着てると思ったんだね、きっと。
「俺、自分で会社やってますから。」って言ったら、「ああ、そうか。」って。俺のこと心配してくれてありがとう。俺が「社長こそ、こんなとこで何してるんですか?」って聞いたら、「孫が遊びにくるからバス停まで迎えに来ているんだ。」って言ってたなあ。あの時も、道を渡るのも何だかちょこちょこと危なっかしく見えたし、年取ったんだなあって思ったよ。

今夜は通夜が始まる前に帰ったから、知っている奴らには誰にも会わなかったよ。お清めの塩は半分使って、『社長』に貰った塩ではないけど、ぱっぱっと撒いちゃうのが勿体無い気がしてね、その後、ひとつまみなめてみたよ。舌に刺さるように塩っぱかった。約10年前、吉祥寺の『金の猿』で3年D組の同窓会したよね。あの時も俺が乾杯の挨拶やらされて。

今夜は少し飲むよ。「それでは、社長!乾杯!」

(敬語無しで済みません。敬語使うと余計に遠く感じるので。)

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2012年5月21日月曜日

お日さまのドーナツ





今朝は早起きし、金環日食を無事観測できました。
息子はドラえもんの漫画に夢中で、
「もう、うるさいなあ。さっき、見たよ。」といった感じで、
むしろ大人の方がはしゃいでいました。


グラス越しに写真も撮れました。
昨年早々にグラスを用意してくれたエフエム東京さんに感謝です。

昨日は見事な夕焼けでしたから見れると信じてましたよ。



オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光







2012年5月3日木曜日

麩饅頭


もう夏の気配。



塚本快示に麩饅頭と氷。五感で味わう清々しさ。



盛夏には、手前味噌と丸の胡瓜に、グラスにガラガラと氷を入れて飲むドイツワインも美味いのだ。



お試しあれ。



オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光



2012年4月15日日曜日

パステルのプリン



今日は広告業界への就職を目指す早稲田大学の3年生の学生さんの来訪があった。一昨日、電話で弊社には採用の予定は無いと伝えたのだが彼の熱心さに魅かれ本日お会いすることにしたのだ。奨学金を得、バイトもして親に頼ることなく頑張っているという。採用はしないが役に立てるのならと私の知っている範囲で業界の話とアドバイスをし、気づくと4時間が経っていた。写真にあるパステルのプリンは彼の手土産だ。帰りがけの車中、彼は「パステルは有名だと聞いて手土産にしたのですが一つ300円のプリンなど自分では食べられない。自分はどんな味なのか知らない。」と言っていた。悪いことをしたなあ。そして、なんという偶然だろう。夕方、土産にパステルのゼリーを妻が帰ってきた。私は妻のではなく彼の持参したパステルのプリンをいただいたがしみじみと美味かった。彼の就職活動がうまく運ぶことを願わずにはいられない。就職が決まったら連絡をくれるという約束を交わしたが、これもまた楽しみなのだ。さて、夕食は、また新宿伊勢丹にて入手できた19カ月熟成プロシュート・ディ・パルマの端っこ、メキシコ産極太アスパラ、カマンベールに岩塩とパルメジャーノとオリーブオイルをかけたイタリア国旗仕立てと、ゆで卵とナチュラルチーズとブラックオリーブ入りのニース風サラダ、サザエのニンニクバターオーブントースター焼き、いつものメキシコ産スパークリングワイン、バゲットでした。ご馳走様でした。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光





2012年4月1日日曜日

お店の生ビールのクリーミーな泡を自宅で再現する方法

今日はパエリアを作りました。それと生ビール。いや、パエリアはどうでも良いのですが、それよりも、どうですか?このビールの見事なクリーミーな泡。まるでお店のビールサーバーから入れたような感じではないですか?これを自宅で手軽に楽しめる方法を見つけたので、今回はこの方法をご紹介します。ビール好きのあなたに、そうですよ!F井さん!特にあなたに喜んでもらいたいのです。サントリーでも講習会を開き美味しいビールの注ぎ方などレクチャーしていますし、私もやってみましたがあんな方法では無理です。いえ、無理というよりも私が目指すレベルではないのです。それとは別に独自にコップの素材、かたち、温度、いろいろやってみましたが、どうも泡のキメの細かさが違うのです。そして、ある日、ビールを一口飲んでいつものように落胆しながら私はコップの泡をしばらく見つめていました。う~ん、どうしてもお店の生ビールのあのクリーミーな舌触りが再現出来ない。やはり、業務用のサーバーでないとだめなのか・・・。しかし、そこで、ふと思ったのです。泡の大きさが違う。これが舌触りに影響するのではないか?だとしたら、単純に泡のひとつひとつを小さくすれば良いのではないか?と。そして、あるアイデアがひらめきました!私はキッチンの引き出しを急いで開くと、あれを探しました。あった!これこれ、無印良品の茶漉し。目の細かい金属のネットが二重になった普通の茶漉しですよ。飲んだばかりのグラスの上に茶漉しをホールドしビールを注ぎます。おっ?見るからに違うぞ。これは、もしかして・・・。急いでグラスを口元へ。上唇に感じる泡のしっかりとした弾力とクリーミーさ!これだ!いや~、こんなに簡単だったのか?一言加えるなら、この方法で普通にグラスに注ぐと上から下まで全部泡になってしまいます。そして、泡が消えた後は気が抜けています。これをヒントにしてあとはバランス良く上手にグラスにビールを入れてください。きっと今までよりもずっと美味しく飲めるはずですから。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2012年3月15日木曜日

ブルータス、お前もか。

先日、ホワイトデーが近いということで夫婦で田無のビストロ「ガメイ」へ。ここのシェフは芝の某名門フレンチレストラン出身なのだ。料理を食べ終えるまでカメラの存在を忘れていたのでデザートの写真となっております。オレンジ色のシャーベットはパプリカですよ。料理は味はそこそこ、ボリュームもあって、値段はリーズナブル。雰囲気を求めず、単に食事目的なら良い店でしょう。
実は、昨年の12月にテレビのロケハンで35年ぶりに芝の某レストランへ伺いましたが、大変失望しました。建物も暖炉もシャンデリアも木の床に響く靴音も当時のままでしたが、他は全く変わっていました。壁にかかる絵画も明らかにレプリカですし、聞けば、経営がタクシー会社に変わったのだとか。電話予約の時点でその対応に私は「おや?」と違和感を感じていたのですが、いや、本当に残念です。銀座ソニービルの地下の某レストランに続き、また、がっかりさせられました。さて、皆さんにもお口直しを。ホワイトデーには無関係ですが、こちらはチョコレート好きで有名な女優・ReeSyaさんにいただいた「バターフィンガー」というネスレのチョコレート。口に入れた瞬間の不二屋のピーナッツチョコレートのような懐かしい香りと、キャンデーが層になったフィリングの歯ごたえ、ほのかな塩の後味が美味しかったです。ありがとうございました。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2012年3月3日土曜日

餃子と生ハム

今日は家族で代々木にて外食をしました。「手延べ でっかい餃子」と看板があるこのお店の餃子は『生きている餃子』と言い、焼きつけた厚い皮はパリっとしていて、なのにもっちもち、かぶりつくと肉汁が隣の人まで飛んでいきそうな勢いで、とにかく美味しい。ルイヴィトンのシティーガイドにも紹介されているのも凄いと思います。この店も凄いがルイヴィトンも凄い。世界の高級ブランドがこんな庶民的な店に良く入ったなあ。因みに餃子定食は焼き餃子とスープとザーサイとご飯がついて580円。安いでしょ。それに引き換え皆さんが有難がるフランス某ブランドのビニール製のバッグは高いですよねえ。今さら某ブランドと言ってもあれですけれど。
昼食の後、徒歩で代々木から新宿伊勢丹へ。今日はめでたい雛祭りですから、ひなあられと菱餅、マカロンとショコラ、鈴懸の道明寺ととろろ饅頭、エディアールのパン、それから生ハムを購入。生ハムコーナーでは何とラッキーなことに「19カ月熟成のパルマ産プロシュートの端の部分」があり、これが超お買い得なのです。大人の拳骨大の塊が840円でした。これは皮つきなのでサーブに手間はかかりますし少々筋が多いので硬いのですが味は最高。何と言っても山ほど食べられますからね。
これで思い出すのは学生旅行で行ったスペインです。当時から美食の本などを読んでいた私は、スペインの肉屋で憧れの「ハモンセラーノ」を購入し、ホテルの部屋で食べようとしたのです。スペイン語など良く分からないばかりに、肉屋の親父の左手の上に乗った新聞紙にスライスしたハモンセラーノが見る間に山のようになってしまい、たぶん「これ位で良いか?」と言われている状況に「イエス」としか言えなかったのです。ホテルに帰り、安宿故にテーブルなどなく、ベッドの上で食べた私は、始めこそ「これが有名なハモンセラーノか!美味い!」と喜んだものの、すぐに塩っぱさとその量とで気持ちが悪くなり、翌朝も一口で嫌になり、大量の生ハムごと新聞をばさばさと丸め、ホテルのゴミ箱にどさっと捨てるしかなかったのです。いや、本当に勿体無い。してはならないことです。皆さん、「ノー」と言える日本人になりましょう。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2012年2月15日水曜日

バレンタイン

PIERRE MARCOLINI, LADERACH, GODIVA, etc.
手作りのチョコレートケーキ・・・色々なチョコレートを!


オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2012年1月2日月曜日

皆様にとって輝かしい一年になりますように。


我が家ではおせちは全部自家製です。私も少々お手伝いを。金柑の種抜き、きんとんの裏ごし、数の子の塩抜き用の砥ぎ汁作り、、、。息子は、伊達巻を巻く作業、松前漬の材料を瓶に詰める作業、干しシイタケを洗って水につける作業を頑張りました。
お正月ですから滅多に使わない古伊万里の金襴手などに盛り、滅多に口にしない大吟醸も。どれも美味しくいただきました。
さて、今年。今年こそは皆様にとって良い年になりますように。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2011年12月25日日曜日

Merry Christmas


2匹の生きているオマールエビを戦わせる息子。彼にとっては、バルタン星人のソフビ人形の様なものかもしれません。しかし、子供とは何と残酷な生き物であることか。

茹でたてのオマールエビ、自家製ローストビーフ、タラバガニ、スパークリングワイン、コート・ド・カスティヨンの赤、ドイツのアイスワイン、シャンメリー、息子と妻の作ったケーキ、それと、息子が学校で作った紙粘土の「いきものケーキ」。
姿は悪いが、味は中々のものでトップスのチョコレートケーキそのものだ。それ以上に胸のあたりがくすぐったいような、幸せな味がした。
クリスマス・イヴの翌日は、食べ残しをバターで炒めてソースアメリケーヌを作った。これって家族だから出来るんだよなあ。

生きたエビさんに失礼のないよう、全部、大事にいただきました。とても美味しかったです。


オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2011年11月23日水曜日

どんぐり

息子が小学校でリースを作るために松ぼっくりが必要だという。小金井公園のセンターで「この木なんの木」という案内図をもらい二人で松林を目指す。クロマツの立派な松ぼっくりをビニール袋にいっぱい集めた。その帰り、ひとりしゃがんで熱心に何かを拾う女の子を見かけた。近づいてみると椎の実(どんぐり)だ。女の子は食べようとして集めているわけではないのだろうが、自分が子供の頃これを炒ったのが好きだったのを思い出した。息子に「旨いぞ」と教えひとつかみほど持って帰った。炒ってみると香ばしいにおいが立ち込めた。ぱちっと2度程はぜたのを確認して熱々のところを殻をむいて食べてみる。うん、そうそう、これだ、懐かしい。香ばしく、カリッとしてほのかに甘い。息子に食べさせると恐る恐る口に入れてすぐに吐き出してしまった。どうやら息子は私ほど強くは食に対する探求心を持ち合わせていないらしい。一緒に出した干し葡萄の方が好みの様だ。私はといえば、合わせたマディラが甘過ぎた。先週末に出したクリスマスツリーのライトの点滅を見ていると悪酔いしそうになる。この一杯でやめておこう。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2011年10月23日日曜日

キャビアはお好き?

先日、ランプフィッシュの卵を食べ、後味(だけではない)が悪かったので、今夜は正しくチョウザメのものを頂いた。現在のカスピ海では過去の乱獲により実質的にチョウザメの禁漁らしく、昔の私の様に一度にベルーガ、セブルーガ、オシェートラを食べ比べる訳には行かない。現在、主に手に入るのはアメリカ産のバトルフィッシュ(チョウザメの一種で三越ではセブルーガとほぼ同一との説明があった)、または養殖のチョウザメなのだ。今回はアメリカ産を試す。食卓には他に、シャンパーニュの代わりにパーカーポイント高得点のメキシコ産のスパークリングワイン、そして、キャビアに合うとされるフレッシュなチーズ「ブリア・サヴァラン」を初め、ロジュレ(白カビチーズ)、ピエダングロア(ライトなウォッシュ)。これに、ソーセージとサラダ。メゾンカイザーとドミニクサブロンのパンが並ぶ。
さて、アメリカ産のキャビアは、小粒ではあるがわずかに緑がかった薄いグレーの中に黒い点々が見える姿も、舌触りも、独特な香りも確かにキャビアであった。キャビアに合うとされるものはさまざまにあり、ブリア・サヴァランの他に、ブリニ、スモークドサーモン、ゆで卵など、色々言われるが、要は、紙の外箱に比べて過小でさらに上げ底極まりないガラスの容器からもその貴重性は明らかなのであるが、いかにその量を増やして大勢の客に食べさせるかということなのではないだろうか。私は、何に合わせてもその真価が分かりにくくなるばかりだと思う。私の考える一番の食べ方は、勇気を出してえいやとスプーンですくって一口に頬張り、卵の粒の決してプチプチとはじけず何ともだらしのない印象を伴いながらつぶれてゆく感触、そして、グニュグニュべたべたと舌にまとわりつく愉快でない感触を味わい、その感触そのままにキレの無い味と生臭い魚の油の匂いに集中するというものである。ここまで読んでいただいてすでにお気づきであろう。そう、私はちっともキャビアなんて好きではないのだ。・・・と言いつつ、私が無理に食べさせようとしたのが原因で「キャビアなんて不味いから要らない!」と言って小学1年生の息子が暴れテーブルに散乱したキャビアを一粒残らず拾って食べてしまうのが私なのだ。だって、高かったんだからさあ。布巾でサッサッてわけにはねえ。ですよねえ。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2011年10月13日木曜日

ワインの深淵

自分の誕生日にはフォアグラとソーテルヌと決めていたので今夜はその通りにした。他にエビグラタン、ランプフィッシュの卵、サラダ、バゲット、チーズ、タルトタタン、アールグレイ、それに嬉しいバースデイソング。成城石井で買ってきたフランス産ガチョウのフォアグラは今ひとつ満足感に浸れない代物で、これなら、自分でフレッシュのフォアグラブロックから作った方がずっと美味い。クリスマスにはまた作ろうと思う。

ところで、美味と美酒の組み合わせは色々言われるが今日の組み合わせは本来なら良いものであろう。有名な生ガキとシャブリ、キャビアとシャンパーニュという組み合わせは、単に高級な物同士の組み合わせでしかないし、むしろお互いを不味くしてしまう。この「食事に何を合わせるか」という話だが、一流ソムリエとされる田崎氏の持論に私は猛烈に反論したい。彼は、食材に含まれるエッセンスと同じ要素を持ったワインを合わせるのだ。例えば、カエルに石灰の様な香りがあるから、合わせるワインは石油香のあるリースリング、というのだ。これは、一見理論的に聞こえるし、説得力がある。しかし、これは客に薦めた高いワインに反論されないための彼なりの理論武装だと思う。私の意見は全く違う。「マリアージュ」というのは、全く別の種類のものが合わさって初めて生まれるものというのが私の考えだ。人間同士の「結婚」もそうかもしれない。それでは、濃厚なガナッシュのデセールに合う飲み物は何か。田崎氏の理論からすれば濃くて甘いココアということになろう。さて、それはいかがなものか。では、私の正解は何か。砂糖抜きのエスプレッソだ。もっと簡単に言おう。餡団子にお汁粉を合わせるか?緑茶でしょ?「全く違う者同士が出合いお互いを高めあうこと」。それが私の考える「マリアージュ」だ。そうでなければ、神は何故違う人間をこんなにも創造したのか。(私は無神論者なのだが。)

バブルの時代、ワインブームというものがあり、私も随分と飲んだ。私は何かに嵌ると、熱中し、その分野の頂点を体験し、納得し、冷却する。私のワイン探求は初めは名もなきボルドーシューペリュールから始まった。この時、今まで飲んでいたものとは全く違う風味、葡萄由来では無いと思わせる味に驚いたのだ(今では解明しているが)。そして、ボルドー、ブルゴーニュ、ソーテルヌに興味が湧き、しばらくバローロやバルバレスコあたりをうろうろとしてみたものの、ボルドーに戻りポイヤックやポムロールに捕まり、その後、一気に有名ワインを飲み比べた。ラトゥール、トロタノワ、イガイ、ディケム、クリュグ、ドンペリニヨン、ラフィット、パルメ、オーブリオン、ムートン、エシェゾー、グランエシェゾー、シャトーマルゴー、DRCリシュブールとロマネサンヴィヴァンとラ・ターシュ、ペトリュース、モンラッシェ・・・。この頃の私の夕食は、ビゴのルヴァンというパン、バター、ワイン一瓶、以上。その後、倒れ込むように就寝、という日々だった。
一番美味しいと感じたのは赤はシャトー・ラトゥール、白は、ドメーヌミシュロ・ムルソー・ジュヌヴリエール、飲むのに一番緊張したのは元町のフレンチレストラン霧笛楼で飲んだ1940年のボルドー・マルゴーのローザンガシイだ。コルクを抜くソムリエの手が震えていたのを今でも思い出す。

しかし、しかしなのだ。最近、チーズは同じ銘柄であっても、レストランで最高の熟成具合でいただくのと、スーパーで気軽に購入したのとでは全くの別物(カスタードクリームと消しゴム、香水と塩水ほどの違いだ)ということに驚いた事をこのブログにも書いた。だとしたら、私が飲み尽くしたと思っていたワインは本当の味だったのだろうか?私は思う。ワインは生まれ、よちよち歩き、成長し、成熟し、枯れ、死ぬ。それも同じボトルの中で。おそらくは、最高の輝きを見せるのは一瞬だろう。多くの女優がそうであるように。
開高健「ロマネコンティー1935」を読みながら、私はそこに登場する最高のワイン、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティーのラ・ターシュを飲んだ。その時は、そこに正に書いてあるにもかかわらず、思いもよらなかったのだが。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光







シャトー・ムートン・ロートシルトは毎年異なる画家によるラベル(1973年ピカソ、1988年キースヘリング等)が有名だが、この1993年のアートは アメリカでは販売の許可が下りなかった。幼児との性交渉を想起させるというのがその理由で、この年、アメリカでのラベルは白紙となっている。私がラベル買 いした唯一のワインだ。ムートンでは他に、1979年シャトームートンバロンフィリップ、1980年シャトームートンロートシルト、1993年ルセカンド ヴァンドムートンロートシルトをいただいた。繰り返し試したのは感動がなかったからだ。その名声の在りかを確かめたかったのだが、しかし、私には最後まで 見つけることができなかった。私には広告に長けたブランドをより厳しく評価する癖があるのかもしれない。





2011年10月9日日曜日

死の朝

ペパーやガーリックなど数種類のソーセージ、ラディッシュなどのサラダ、フルーツ、LE GROTTE REGGIANO LAMBRUSCO ROSSO SECCO(イタリアの赤のスパークリング)、チーズ数種類。此処の処、こんな食事が多い。チーズを美味しく食べるためのメニューなのだ。今宵のチーズは、ピエール・ロベール(写真左)、クロミエ・サンジャック(右)、そして、リヴァロ(中央)。
白カビのチーズに嵌り、少しずつ癖のあるチーズへ進んできたので、そろそろ強い風味のウォッシュが再び食べられるようになっているのではないか?と考えたのだが・・・。リヴァロはこのタイプのウォッシュだ。
私には、この10年間食べられないでいる物がある。それが、オレンジ色に熟成が進んだウォッシュチーズなのだ。それには、訳がある。オレンジ色に熟成したウォッシュチーズを口に含むと、私の前から楽しいはずの食卓が消え、冷たく暗く悲しい風景が見えてくる。それは、肝臓と腎臓を患い亡くなった朝の父の部屋だ。およそ10年前の真冬の朝、電話に出ない父の部屋をひとり訪ね、何度呼び鈴を押しても返事がなく、どうしようもない絶望的な予感の中、私は前の晩に本人から預かった父のキーを恐る恐る鍵穴に入れた。マンションの鍵の開く冷たく大きな音が響く。ドアを開け、靴を脱ぐ。カーテンが引かれたままの真っ暗な中、何度呼びかけても父からの返事はなかった。カーテンを開き、ベッドの方へ進むと、眠っているかのような父がいた。頬は冷たくなっていたが、まだ、布団の中は温かかった。救急車が到着するまで、父の顔を抱きしめ、懺悔するように話しかけた。
その時の匂いが今でも忘れられない。
救急隊員から父の死を告げられた。もちろん自分でも分かっていたのだ。父の死を頭で認識しながらも私は救急車を呼んだ。「父が息をしていない。」そう説明をした。自分で結論付けられなかったのだ。誰かにはっきりと言われるまでは父の死を認めることができなかった。
父の死からもうすぐ10年になる。時間が経過し、リヴァロを食べても、もうあの悪夢を見なくなっているかもしれない、そう思ったのだが駄目であった。私はおそらく、一生食べられるようにはならないのだろう。それは、私が父の死に責任を負っているという思いがあるからに他ならない。そして、そこからは一生逃れることなど出来そうにないからだ。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2011年10月6日木曜日

Macarons a la ganache/LA MAISON DU CHOCOLAT

フランスから空輸されているというこのミニマカロン。見た目よりずっとガナッシュがたっぷり入っていて満足できるのだ。コンフィチュールのマカロンは無く、全部中身はガナシュというのがここらしいのだが、それだけに、挟まれたガナッシュは流石といった味だ。
そうかと言って、自宅でこの味の再現に挑戦できないわけではない。マカロンもガナッシュも、我が家の本棚にはメゾン・デュ・ショコラ創設者であるロベール・ランクス氏のオリジナルレシピがあり、冷蔵庫には、アーモンドプードルも卵もチョコレートも生クリームもあるのだから。
・・・いや、今晩はやめておこう。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2011年10月2日日曜日

妻の誕生日



誕生日を迎えた妻のリクエストにより母と広尾のル・スフレでランチ。リンゴとカルバドスのスフレがお気に入りなのだ。ミートパイやキッシュも美味しかった。その後、明治屋とナショナル麻布でチーズや発酵バター、ソーセージなどを物色。銀座和光で、チョコレートケーキでは妻一番の好物ピエールジョゼフを求めた。
特別の日なので夕食にはソーテルヌを開けた。洗うのが面倒なのだがリーデルのこの本来ブルゴーニュ用とされているグラスでワインをいただくのが私は気に入っている。(食器洗いは私の仕事なのだ。)
この日の収穫は最高の状態のウォッシュチーズ、ピエダングロアが手に入ったことだ。このチーズに合わせるのならセーグルノアなどではなく、シンプルなバゲットの方が良かった。ご馳走様でした。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2011年9月28日水曜日

Othello

今日試したOthelloというネーミングのチョコレートはバニラのホワイトチョコレートとキャラメルのビターチョコレートの2層ガナッシュというのだが、しかし、残念ながらバニラもキャラメルも少しも香らない。・・・それこそが「悲劇」ということか。名誉のために作者の名は明かさないでおくがShakespeareではない。
あと、ふたつ。残るDrageeは、幸福か、健康か、富か、長寿か、それとも・・・。


オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2011年9月27日火曜日

薔薇のチョコレートのお話

今夜は、銀座和光のトリュフナチュールとドラジェ、さらに新作の自家製ガナッシュまで食べてしまった。今回のガナッシュは煙の上がるほど焦がしたカラメル、生クリーム、フォアローゼズ入り。最近のチョコレートを食べるペースは速過ぎるようだ。気をつけないと。写真をご覧いただこう。フォアローゼズの薔薇の絵のラベル、薔薇のお皿、そして、写っているグラスのブランド名にも薔薇が隠れている。ただし、この話、当のフランス人には通じない。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光