2016年9月4日日曜日

うなぎ三昧の七日間

深夜ラジオのDJさんが『僕は鰻が一番好きな食べ物なんだ。鰻好きが集まると必ず何処の鰻が一番美味いのかという話題になるんだよ・・・』と語っていた。

その通りだ!何処の鰻がうまいのか検証をしなくては!
と思い立った。
それで、今週はとにかく打ち合わせや何やで鰻を食ったという訳。

8月29日(月曜日)、関内の『わかな』で鰻を食う。
子供の頃、うちでは鰻屋と言えば『わ・の・ふ』だった。子供には『わかな』って読めませんよ。此処のはとにかく飯。多すぎるけれど、だからこその美味さなんだろうな、きっと。最後まで火傷する程に熱々の飯。飯粒がはっきりしていてぴかぴかして。『わかな』の美味さは飯に尽きる。
今見てもやっぱり『わのふ』だなあ。
とにかく「飯」。


8月30日(火曜日)、銀座の『野田岩』で鰻を食う。
あのね、此処の蒲焼きはそんなに好きじゃないの。濡れた段ボールみたいだから。此処は何といっても白焼き。此処で白焼きを食ってから他所では食べられなくなっちゃったなあ。白焼き丼、美味いっすよ。私にはタレが多いので減らしてもらうけどね。どうでも良いですが、正式には『志ら焼丼』って書きます。『野田岩』の凄さは白焼きにこそ出る。
『志ら焼丼』写真撮り忘れました。

8月31日(水曜日)、銀座の『ひょうたん屋 6丁目店』で鰻を食う。
京橋で仕事していた時は現在のじゃなくて移転前の1丁目のひょうたん屋 にお世話になっていました。飯が研ぎ過ぎで割れていたけど、それも珍しくて好きだったなあ。蒸さずに焼くから歯ごたえが良くて脂も強い。うなぎの脂を味わいたいのなら『ひょうたん屋』でしょう。
強い焼き。強い脂。

9月1日(木曜日)、田無の『坂平』で鰻を食う。
私の地元じゃ此処。今回は白焼きとご飯にしました。う〜ん、でも、白焼きは甘辛のタレに頼れませんから焼きで香ばしさを引き出すのは確かに難しい。多くのお店は別に其処を目指していないのだろうな、きっと。私の場合は普通のうな重にしておけば良かったかもしれません。田無で鰻を食べるのなら『坂平』 。古い『カーグラフィック・マガジン』もズラリと揃っていますよ。

9月2日(金曜日)、神田『きくかわ』で鰻を食う。
正統派のうなぎ屋。美味かったし、気に入らない点も無し。ただ、尾の部位を綺麗に折り返しているあれはすでに売り切れ。この店ではやはりあれを見たいですよね?豪快なうな重を食べるのなら『きくかわ』でしょう。


9月3日(土曜日)、南千住『尾花』で鰻を食う。
うざくに浮かぶ鰻の脂ととろりとした酢の甘さ、菊の香り、これに熱燗で幸せになれますなあ。
しばらく待ち白焼き。食通からここの白焼きは絶賛されています。私からすると身の厚さは印象的ですが、そうですね、確かに魚臭さは無いし、ふっくらしているけれど、焼きの香ばしさが物足りないんだよねえ。
程なく届くうな重の蓋は取らずに蒸しておきましょう。白焼きをゆっくりつまんだらお腹もある程度満たされていますが、此処のうな重はぺろりといけますよ。鰻がトロトロなんですね。それが証拠に串打跡が多いんですよ。おそらくこうしないと身が崩れてしまうのでしょうね。例えが悪いけれど、これ、カレーライスみたいだなあ。カレーライスは飲み物だってどこかのタレントが言ってましたけれど。此処のうな重、それ位鰻がトロトロなんですよ。噛まずに飲めちゃう。そんな鰻がお好きな方は是非どうぞ。
至福のうざく

カレーライスみたいなうな重

 9月4日(日曜日)、三鷹の持ち帰り専門『豊駒』の鰻を自宅で食う。
10時30分に到着。一番乗りだ。店の前を箒で清める親父さんにまずはご挨拶。目の前の桜並木が市に乱暴に伐採された事を残念がっていらした。11時の開店前におじさま4人が並んだ。ぶつかり合う金属音が心地よい備長炭で鰻が焼かれるのを見るのも楽しい。一度に5串焼きあがった最初の「極上ランク」を家族分買求め、冷めないように紙の手提げをそのままバスタオルに包んでからさらにバッグに仕舞う。帰り道、宮田酒店で鳳凰美田純米吟醸を入手。柳庵初瀬川の菱形重と虎渓山水月窯の器を出し、炊きたてのご飯、胡瓜の酢の物でこの上ない昼食に。豊駒の鰻はふわりとろりで文句無し。持ち帰りなら豊駒で間違いありませんぞ。ただ、温かいうちにすぐ食べてくださいよ。


今週の7日間、毎日鰻を食った。
味わった。探求した。考えた。
そこで分かった自分なりの鰻の好み。
まず、素焼きの後、蒸して出来るだけ柔らかく。
でも、脂を落とし切ってはだめなんだ。
そして、焼き。これは火で焼くんじゃないよ。身に残った脂に熱を入れて、その脂を身に回すんだよ。そのわずかな脂でじっくりと実は揚げ焼きするのさ。
タレの醤油と砂糖を焦がすだけじゃだめだよ。表面だけじゃだめなのさ。
そう、中からじっくり。お願いしますね。

それから、誰かこんな私の好みに合いそうなお店知ってたら教えてくださいね。

気付けば夏が終わろうとしている。
鰻の夏が終わる・・・。

でもね、本当は美味いのはむしろこれからですよ。
平賀源内のマーケティング以前は夏の鰻は不味いとされていたのですから。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光

2016年4月16日土曜日

石楠花の思い出 ぎおん徳屋原宿店




ぎおん徳屋原宿店でパフェをいただいた。
抹茶アイスに抹茶がひとつまみ乗っている。
おしぼりに着いた杉の木の匂が心地よい。
こうしたところが素敵だ。




帰りに原宿で石楠花を見つけた。
叔父が経営していた会員制ゴルフ場+ホテルを思い出す。
石楠花はこの会員制リゾートのシンボルマークだったのだ。

老舗旅館の東府屋、今では東府やResort&Spa-Izuの前の道をずっと登った終点に叔父のコンセプトで建てられたホテルがあった。
吹き抜けのロビーフロアに市松模様に敷き詰めた白と黒の大理石はイタリヤの現地で叔父が選んだものだった。
いつもクラシックカーのベントレーが停まっていた贅を尽くしたホテルの車寄せへ続くアプローチはトヨタ・クラウンのテレビCMにも使われた。
タモリも会員名簿に名を連ねたゴルフ場ではあの頃熱々ぶりが知れ渡っていた小柳ルミ子夫婦が私たちの前の組で幸せを謳歌するようにはしゃいでいた。18ホールずっと彼らの幸せそうな笑い声を聞いていてうんざりしながらも何となくこちらも幸せな気分だった。




あの頃、今思えばバブルのはじける直前だった。
叔父はフランスで古城を手に入れここもホテル+ゴルフ場にしていたが 日本のバブル崩壊とともにどちらも失うこととなった。

有言実行の人、冒険心に溢れ豪快な人物で私の憧れだった叔父は2年前幸せなままこの世を去った。
石楠花を見ると私は贅沢だった「時代の気分」を思い出し、ここでは書かないが、叔父の武勇伝の数々も思い出すのだ。

 オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光









2016年3月21日月曜日

天然アサリ飯



私の好物。それは、岩場で採った天然アサリの炊き込みご飯。
生姜と日本酒、ほんの少しの醤油で風味をつけて炊き込むだけ。
この時期はまだ海水も冷たくてアサリの身も小さいけれど炊きたてのアサリ飯は味も香りも最高だった。
潮干狩りと同時に釣ったアイナメ、ハゼ、銀宝を卓上天ぷらにした。
他に、スーパーで求めた白魚、ふきのとう、山独活の芽、蓮、にんじん、竹輪とネギのかき揚げ、羊羹、バナナを揚げた。
奴と桜の名前のついた吟醸を合わせ、言うことなしの「春の晩餐」となりました。
ご馳走様でした。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光



2016年2月7日日曜日

雪の金沢へ 加賀会席『杉の井』



この時期はどの雑誌も雪のグルメ特集ばかり。
う〜ん、居ても立っても居られず、この週末は家族で金沢へ。

まずはまっすぐ加賀会席『杉の井』へ。雪つりの庭を眺めながら、蟹真薯やら、蟹酢やら、治部煮やら、うなぎの加賀レンコン蒸しやら・・・。



























『いたる本店』で、のどぐろ塩焼きやら、日本酒に漬け込んだ香箱ガニやら、ほたるいかの沖漬けやら、寒ブリやら、白子やら・・・。



近江町市場『いきいき亭』でガス海老やら、のどぐろの炙りやら、がんどやら、甘エビやら、赤烏賊やら・・・。
川木商店で生牡蠣やら・・・。
立ち食いにて青い子を抱えた牡丹海老の踊りやら・・・。

















最後は『清商店』でブルーのタグ付き、活けの加能ガニを二杯買って帰り、
自ら捌き、刺身、焼きガニ、鍋、雑炊!

食った、食ってやった、この二日間で冬の金沢を食べ切ったぞ。



そう、私は誘惑に弱い。
雑誌の記事にこうも簡単に踊らされてしまうのだった。


雑誌の読者皆さまがこんな風に広告情報に簡単に踊ってくれましたら、もう少し我々広告会社も楽なのですが。
さあ、また明日から仕事に打ち込みましょう!

P.S. 旅行を振り返り、美味に満足した私が小学生の息子に「何が一番だった?」と訊ねたら「雪合戦!」と返されました。子供メニューは頼まないで大人と同じものを食べてるんだけどなあ。「これからは、もっと遊んでやろう」と心に決めましたよ。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光






2016年1月11日月曜日

我が家のオックステールのシチューとフランス料理店「牡丹亭」


今夜、我が家ではオックステールのシチューをいただきました。2006年のボルドー・シューペリュールにはキャセロールにもグラスにも入ってもらいました。1本買いのテールはルクルーゼでばらけてしまう直前まで煮込んだのでフォークで触るとホロリと崩れ、口に運べばゼラチンたっぷりの肉がトロリと溶けます。結構美味しく出来ましたよ。ご馳走様でした。胃炎の薬ですか?ええ、もちろん飲みました。

我が家のオックステールのシチュー

そうそう。私の父は味にうるさい人でした。僕の舌を鍛えたのは間違いなく父ですね。その父がオックステール・シチューなら此処、というのが荻窪にあった「牡丹亭」でした。俳優の金子信雄氏がオーナーのフランス料理店で、僕のオックステール・シチューの味の基準になった店です。いつも店の近くの坂道に路上駐車して、帰りは父の飲酒運転でした。今じゃあり得ないことですね。因に僕は金子信雄氏は好きではなかったので、味は良いのだけれど、そこだけは何となく嫌だったことを憶えています。

オフィスプロモ株式会社 代表取締役 古荘洋光