だが、イベント時は別。クリスマスからお正月のこの時期は普段あまり近寄らない牛肉屋さんへ脚が向く。
そして、命を削る価値があるほどに旨い牛肉にだけかぶりつくのだ。
実は、僕は調理前の美しい霜降りの肉の断面を見るのが好きだ。
怖いもの見たさに熟成牛肉の塊の周囲の色が悪くなっているところを見るのも乙なものだ。お店の方と産地や肉質のお話しをするのも実に楽しい。
このシーズン、どれだけの牛肉の断面を吟味しただろうか。角度や緻密さといったサシの入り具合、赤と白のコントラスト、断面の艶。う〜ん、それぞれに美しい。そして、同じものは一つとしてないのだ。
僕は何度見ても飽きない。
牛肉の断面の鑑賞は、ランダーブルーやらダメイル、ナンバーエイトなんかのクラシックなターコイズを眺める時の楽しさと似ている。それも細かいスパイダーウェブのルースを手に取りルーペを覗いている時のあの高揚。
交詢ビルの中の鉄板焼き屋さんのこれは差し詰め『キングマン』。見事な手さばきは眼にもご馳走。肉汁と赤ワインが口中で渾然一体のジュースとなり悶絶。間違いなく寿命を縮めたが、我が人生に悔い無し。 |
新宿の某百貨店でカットしてもらい自宅のグリル・ロンドで網目模様の焼き目をつけたステーキに。エイジング・ビーフは『ペルシャン』。 |
家で肉を焼くのは僕の役目。カルビの塊で作ったローストビーフを薄く切ったら3〜4枚重ねてクレソンを添えてバゲットに挟む。このマトリクスは当に『ダメイル』。 |
このロースは『インディアンマウンテン』でしょうか。しかし、この肉、しゃぶしゃぶで本来の見所が洗い流されたと判断。改めて山葵醬油で生食したら美味かった。ただし何があっても自己責任で。 |
多くの賛同は得られそうにありませんが・・・。
以上、僕なりに「黒毛和牛」のサシを「ターコイズ鉱山名」で表してみました。
オフィスプロモ(株)代表取締役 古荘洋光